月一コラム第十九弾!令和3年6月号
2021年6月16日(水)に第204回通常国会が閉会しました。私自身は主に参議院厚生労働委員会で活動を行いましたが、閉会中も閉会中審査(委員会の開催)や、新型コロナワクチンの職域接種に実際に従事することを通じて、今後の課題を整理しようと考えています。皆様からも多くのご意見をお待ちしております。
この通常国会の最終盤に、1本の議員立法が成立しました。
その法律の名称は「災害時等における船舶を活用した医療提供体制の整備の推進に関する法律」です。いわゆる「病院船」を日本でも整備・保持・運用を目指していこうという法律です。
実は私が2007年に参議院議員に初当選した際に、最初に受けた陳情が『「病院船」を日本でも整備してほしい』というものでした。14年もの歳月が流れましたが「病院船」整備にむけてのスタートを切ることができてとても嬉しく思います。
「病院船」整備については、これまでも政府内では何回か検討が行われ、費用の面、運用主体のあり方、災害時以外の活用方法などを巡り、なかなか踏み切れない状況が続いていました。私が「病院船」の必要性を強く感じたのはやはり東日本大震災の時でした。発災後数日の間に、大変多くの医療従事者の方が現地に入られました。それは本当に素晴らしいことでしたが、とにかく電力や水、そして整備された療養場所が少なく、せっかく優れた技術や知識を持っている医療従事者の方が十分に力を発揮できないことをもどかしく思いました。
当時、私が取り組んだことは人工透析が必要な患者さん約700人を被災地から関東の宿泊施設に移動させることだったのですが、その際に被災地の中あるいは周辺にしっかりした医療拠点を構築して被災者の方を素早く治療し、また医療従事者には存分に普段通りの「実力」を発揮してもらえる「ハード」面を整備する必要性を強く感じました。
やはり被災地の患者さんを移動させるというのは、救援する側にとっても患者さんにとっても相当な負担になります。
今回の法律により「船舶活用医療推進本部」が設立され、内閣総理大臣がその本部長を務めます。一般的には「病院船」の「船」の部分に注目が集まりますが、被災地に数時間で新しい「医療拠点」を構築することができるという点に、是非注目していただきたいと思います。
梅村 聡