月一コラム第二十三弾!令和3年11月号

 第49回衆議院議員総選挙が終わりました。日本維新の会は、改選前の11議席から41議席へと大幅に議席数を増やしました。新人議員の方も多く誕生しました。その方々とも協力しながら、国民の皆さんのご期待にしっかり応えられるよう頑張ってまいります。

 国政選挙が終わってしばらくしますと、選挙制度が憲法違反にあたるのか否かを問う、憲法訴訟のニュースが報道されます。いわゆる「一票の格差問題」です。多くの報道では解説委員のコメントや社説で「一票の格差を放置しているのは政治の怠慢だ」という論評がされています。もちろんそういう面があることは確かです。

 一方で、私が参議院議員に初当選して以来、14年ほどの間に、「一票の格差が問題なので是正してほしい」という陳情を受けたことがありません。皆さんもお気づきのことかと思いますが「一票の格差を是正して欲しい」=「東京や大阪などの都市部からもっと多くの国会議員を誕生させ、人口減少が著しい地域の国会議員を減らして欲しい」だからです。コメンテーターや社説も、そのことには決して触れません。「東京や大阪の有権者の一票の価値は軽い」とも言いかえることができるかと思いますが、それで不満を持っている東京や大阪の有権者に出会ったこともあまり記憶にありません。ここには色々な前提があるのだと思います。

 まず、A選挙区で選ばれた国会議員が、A選挙区の利益になることのみを国会で主張するという前提に立てば、それは「一票の格差」は深刻な問題になるかと思います。しかしそんなことをする国会議員はおそらくいないと思います。A選挙区の住民は実際にはB選挙区からも恩恵を受けるはずだからです。たとえば大阪府の住民は食糧や水の供給はほとんど他都道府県に頼っているわけで、そこに不利益を与えると結局はそのとばっちりは大阪府民に返ってきてしまいます。

 また憲法の条文上、
・第14条1項「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」
・第44条「両議院の議員及び選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。」
との規定があり、ここでいう「平等」とは「皆が一人一票投じることができる」ということを指すだけでなく、「一票の価値の平等」も意味すると最高裁判所は言っています。

 しかしそのことを忠実に守った結果、参議院においては「徳島県と高知県」、「鳥取県と島根県」がひとつの選挙区になり、それこそ多くの方々から不満の声を聞きます。本当に「人口に基づいた一票の価値」を平等にしないと国民の意見が正確に反映できないのか?マスコミの皆さんにはそこまで深掘りしていただきたいと思います。また日本維新の会は、今後、憲法改正の議論を加速させます。その時に、こういった課題もしっかり詰めて議論を行いたいと思います。

 もちろん司法(裁判所)の判断を立法府(国会)はしっかり受け止める必要があります。このコラムの内容は、その点を否定するものではないことを申し添えておきます。

梅村 聡