月一コラム第十四弾!令和3年1月号

 2021年1月18日(月)に第204回通常国会が始まり、1月もまもなく終わろうとしています。

国会活動で、私も慌ただしい日々を過ごしております。本年も国民の皆さまのお役に立てるよう、精一杯頑張りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 年末年始に、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数が激増しました。そのような中で、医療提供体制が逼迫していることの報道が相次ぎました。医療機関、医療従事者の皆さまが大変な中で激務の仕事をされていることに感謝を申し上げたいと思います。今回は制度面から、どのようにすればこの医療提供体制の逼迫を緩和できるのかを考えたいと思います。

 

 問題点のひとつに、医療そのものに保健所が関与してしまっていることが挙げられます。感染者を見つけて、感染の蔓延を防止することは保健所の大きな役割のひとつです。しかし、感染者のうち誰が重症化しそうで、それを判定して病院に入院させるかどうかの判断、勧告を行うことは、保健所の本来の役割ではないのです

 

 2020年2月~3月頃は、新型コロナウイルス感染者数は少なく、入院することの目的のひとつは「蔓延防止のための隔離」でもあったので、保健所がその入院の可否を判断することにも一理あったわけです。しかし、感染者数の激増に伴い、入院することの目的は「重症化した、あるいは重症化しそうな患者さんの治療」に大きく変わりました。そして、その患者さんに会ったことがない保健所の職員さんが、電話でそのことを判断することが難しくなってきたのです。よって、これからは、ホテル療養・自宅療養をしている患者さんの健康管理は、かかりつけ医をはじめとする医師に任せるべきです。1日1回(必要であれば複数回)、患者さんに電話をかけ(オンライン診療でも良いかと思います)、そこに診療報酬をつけ、新型コロナ患者さんの健康管理を保険診療(自己負担なし)にしてしまうことが解決策だと思います。そうすれば、重症化しそうな患者さんを早く見つけ出すことができ、結果として重症に至る患者さんを減らせると思います。少なくともホテル療養・自宅療養している患者さんが重症化してから慌てて病院に搬送するという案件は減るはずです。患者さんの氏名と年齢、住所は保健所が把握しても良いと思いますが、実際の患者さんの健康管理や重症化予測は、医師に任せるべきです。保健所の皆さんも本当によくやっていただいていることは重々承知していますが、やはり「その道のプロ」に任せた方が良いのです。

 

 実は上記のことは、私は2020年3月の参議院厚生労働委員会で提案しています。その時の厚生労働省の答弁は「提案内容は、有力な選択肢のひとつで、検討したい」というものでしたが、いまだにホテル療養・自宅療養の患者さんの健康管理は保健所の管轄下に入ったままで、医療が入り込む余地はありません。最近、新型コロナ患者さんが自宅で亡くなる事例が報道されていますが、現在の「ホテル療養」「自宅療養」には医療が入ることができなくて、保健所が抱え込んでしまって「ホテル放置」「自宅放置」となっていることが最大の問題点なのです

 

 以上のことを整理しますと、「ホテル療養」「自宅療養」の患者さんの管理主体を「保健所」から「医師」に変えることで、重症化しそうな患者さんに早期に対応することができ、結果として重症患者さんを減らせる可能性が出てきます

 

 実は、この「保健所」と「医師」の役割分担を進めるために必要なことのひとつが、新型コロナウイルス感染症を「指定感染症(二類相当)から外す」ことなのです。よく「新型コロナウイルス感染症は、平均するとインフルエンザ並の致死率だから、指定感染症(二類相当)を外すべきだ」という意見を目にしますが、そういった観点だけで言っているのではないのです。なかなか難しい議論だとは思いますが、是非、皆さんにも考えていただければと思います。

 

 梅村 聡