月一コラム第十弾!令和2年9月号
私は、全国比例代表選出の参議院議員ですので、全国あちこちの選挙応援に行かせてもらっています。応援した候補者の当選のニュースを聞くと、本当に嬉しく思います。微力ではありますが、これからも仲間の応援を頑張っていきたいと思います。
そのような中で、時々、選挙が終わってしばらくすると「○○議員、△△市での居住実態がなく当選無効」というニュースを聞くことがあります。公職選挙法では、選挙前の3か月間、単に住民票を置くだけでなく、その選挙区に「実際に住んでいる実態」が無いと立候補者の資格が無効(=当選取り消し)となるのです。「実際に住んでいる実態」とは例として「食事」「洗濯」「睡眠」「トイレ」「入浴」「現金を当該地域のATMでおろす」等があるそうですが、はっきりした線引きはなかなか難しいようです。
一方、居住実態が無いために「○○知事」や「□□市長」の当選無効(立候補者資格が無効)という話は聞いたことがありません。なぜなら知事や市町村長の選挙では「実際に住んでいる実態」は問われないからです。
なぜ、地方議会議員は「実際に住んでいる実態」が必要で、知事や市長は「実際に住んでいる実態」がなくても良いのか?
2020年5月25日の参議院行政監視委員会で、私は総務省に質問しました。総務省の答弁は以下の通りでした。
「地方議会議員については、地方公共団体が地縁的社会であるという面から、その代表者の選出にあたっては一定の居住関係の存在が必要であるという観点が考慮され、明治21年の市制町村制、明治23年の府県制の制定当時より住所要件が設けられてきた経緯がある。一方、都道府県知事及び市町村長については、戦後、長の直接公選制が導入されたが、その導入の際に、広く人材を得るという観点から住所要件を設けないこととされた。」
分かりやすく言えば「地方議会議員によそ者がなるのはダメ。知事や市町村長はなり手を確保するためによそ者でもOK」ということなのです。しかもよそ者がダメ(地方議会議員)というのは明治時代に決まり、よそ者でもOK(知事や市町村長)というのは昭和の戦後に決まったという、時代背景の違いもあります。
日本人のライフスタイルも多様化してきました。週末のみ自宅で過ごし、平日は仕事場の近くで生活する、という方もたくさんおられるかと思います。また地方議会議員のなり手不足もよく聞くようになりました。私は、現状を考えれば、「地方議会議員」の立候補資格における「居住要件(住所要件)」は廃止して、「地方議会議員」も「よそ者OK」にするのが現実的な気がします。もし、「地縁的社会だからよそ者はダメだ」というのであれば、それは有権者が選挙を通じて判断すれば良いことであって、線引きのあいまいな「居住要件(住所要件)」で立候補資格を縛ったり、当選無効を出すようなことは、令和の時代にはふさわしくないような気がします。そして案外、「よそ者」の方が、その地域の課題を客観的にしがらみなく解決できる可能性があるように思います。また、皆さんにも、じっくり考えて頂きたいテーマですので、是非、ご意見をお聞かせください。
梅村 聡