月一コラム第八弾!令和2年7月号

 オンライン会議リモートワークオンライン診療(遠隔医療)オンライン飲み会…。通信機器を使って様々な新しい生活様式が出てきました。生活する人にとっては便利なことが多かったり、時間を節約できたりと、色々なメリットがありますが、これまでの日本社会の一端をあらためて垣間見た気もします。

 「オンライン飲み会は嫌だ」という声を聞きました。なぜかと聞くと「その日は出張するので参加できない」とか「そろそろ終電なので先に帰ります」といった参加できない「言い訳」が通用しなくなったからだとのことでした。
また、これまでの外回りの営業などではアポイントの予定は移動時間も考えて訪問先は一日に3~4件だったのが、10件以上の予定を入れることも可能になったとのことです。電車に乗る時間が減り、新型コロナウイルスへの感染リスクも減り、その上、仕事の効率は上がり、良いことづくしのように見えますが、その一方で、仕事量が激増したという方もいました。オンライン社会は「便利さ」を手に入れた反面、人々が「ボーっとする時間」を無くす可能性があります。

 日本には「日本○○協会」や「全国△△協議会」「全日本□□連盟」といった各種団体があります。全国の会員が分散し、会費を納める一方でその団体の執行部が政府や自治体からの情報を収集して会員に配信します。また、会員からの要望をその団体のリーダーが代表して役所等に伝えたりもします。
もし「オンライン会議システム」を利用して政府の検討会や審議会の様子を、各種団体の一会員が直接見ることができるようになれば、このような各種団体の果たす役割が減る可能性があります。また政府や自治体側は各種団体を通じなくても一会員側にオンラインでサンプリング調査をかければ、世間の要望や要求をダイレクトに把握できることになります。様々な分野ごとに団体を設立して活動する文字通り日本古来の「団体行動」は少なくなっていくのではないでしょうか。

 「選挙のオンライン(ネット)投票」には賛否両論があります。私は賛成派が圧倒的に多いのかと思っていたのですが、そうでもないようです。理由は「誰が誰に投票をしたのか、記録が残ってしまいそうだから」でした。実際は、何らかの方法でプライバシーは守られるのだと思いますが、そのような心配事があるとは意外でした。まだまだ日本では「うちの地域は全員一致団結して○○さんに投票しよう」という文化が残っていて、自分の意思で別の候補者に投票したことがバレたら大変なことになってしまうのでしょうか。

 「オンライン社会」は様々な進化をもたらしてくれる一方、日本社会で潜在化していた問題点が改めて浮き彫りになる可能性もあり、興味深く注目していきたいと思います。

 

梅村聡