月一コラム第七弾!令和2年6月号

 2020年6月初旬に、20歳以上の住民を対象とした新型コロナウイルスに対する「抗体検査」が実施されました感染者数が多い東京都、大阪府、感染者数が少ない宮城県が対象地域に選ばれ、東京都で1971人、大阪府で2970人、宮城県で3009人に対して検査が行われました。その結果、東京都では2人(0.10%)、大阪府では5人(0.17%)、宮城県では1人(0.03%)が陽性と判定されました。

 欧米での抗体検査では陽性率が10%程度と報告されていることと比較すると、日本の陽性率は圧倒的に低いことが分かります。
 3月からの様々な活動の自粛がどの程度の効果があったのかは意見が分かれるところですが、ここまでの新型コロナウイルスの「封じ込め作戦」は日本国内ではそれなりに成功したとも言えます。

 しかし、最終的には、一定の日本国民がこの新型コロナウイルスに感染して免疫を持たなければ、このウイルスと人間が「共存」する関係にはならないと思います。理想的なワクチンが開発されるのなら別ですが、開発されてない現状ではどのように感染して「共存関係」に持っていくことも重要です。

 2020年2月~5月の4か月間で日本国民の0.1%が感染したと仮定すると、今の生活を続けている限り、1年間で0.3%の日本国民が感染することになります。50%の日本国民が感染しようとすれば、50%÷0.3%≒約170年かかることになります。要するに今のペースでは江戸時代から令和までの年月をかけないと、日本国民にある程度の免疫が形成されないことになります。そもそも170年もかかるとなると、その間に免疫ができた人間は皆、寿命がきて死んでしまっているので、「170年」という数字にはほとんど意味がないと思います。
 「新型コロナウイルスのワクチンが開発されたら、170年もかからない」という考え方もあります。インフルエンザワクチンをみても、ワクチンを接種した全員がインフルエンザに感染しないという保証はなく、またその効果は半年くらいで切れるので結局、毎年、接種する必要があります。したがって、ある程度「自然に感染して免疫を持つ」という考え方も取り入れる必要があります。そして170年も待てないのですから、どこかで「自然に感染する」ペースを上げる必要があります。

 客観的なデータとして、60才未満の新型コロナウイルス感染者の致死率は季節性インフルエンザと同等かそれ以下と言われています。また、国会審議の中でも厚生労働省からの答弁で「屋外での新型コロナウイルスの集団感染発生の事例は報告されていない」ことが明らかになっています。それらを勘案すると、例えば夏の高校野球甲子園大会を中止するという判断はどう考えても「行き過ぎた過剰反応」と言わざるを得ません。関係者の方々は、移動時や宿泊時のリスクも考慮して総合的に判断されたのだと思いますが、「科学的知見」に基づいて判断すれば、例えば「無観客試合」にすれば何ら問題はないと言えるのではないでしょうか。

 ・客観的な「科学的知見」に基づいた冷静な判断をする。
 ・新型コロナウイルスの感染者をゼロにすることを目指すのではなく、ある程度感染することを受け入れる。
 このように考えていく時期にきているのではないかと思います。

 世界的にはまだまだ猛威をふるっている新型コロナウイルス感染症ですが、
国民の皆さまには少し考え方を整理していただきたいと思いますし、引き続き私も国民の皆さんを守るため尽力してまいります。

                                        梅村 聡